2007年中越沖地震 本震M6.8の断層を探る


変動地形学のアプローチで、山間部の横ずれ断層を航空写真で解明する方法は目から鱗のなんとやらでした。 能登半島北岸でも逆断層と隆起地形の対応が報告されているように、縦ずれ断層でも断層活動がつくる地形から断層の存在を推測可能です。
新潟沖には佐渡海盆(以下、新潟海盆)がありますが、この海盆の西側に新潟海盆西縁断層、東側に新潟海盆東縁断層が指摘され、描画してみると、2007年中越沖地震本震の震源断層面が新潟海盆西縁断層の断層面と重なります。2007年中越沖地震 本震を発生させた断層は、新潟海盆西縁断層にあると考えられます。

新潟海盆東縁断層

図1に新潟海盆東縁断層、新潟海盆西縁断層の位置を示しました。
図2に新潟海盆東縁断層の断層面A、Bを描画しています。断層面Bは、断層面Aから枝分かれした断層で、この断層面はつながっています。

図1 新潟海盆東縁断層

図2 新潟海盆東縁断層の断層面

表1 新潟海盆東縁断層の断層面スペック
-位置長さ走向傾き傾斜面
A37.56, 138.52, 2.0km16km12km40°45°南東側傾斜
B37.58, 138.45, 1.5km12km9km40°40°南東側傾斜
位置は矩形の上端左端

2007年中越沖地震 本震

2007年中越沖地震 本震の震源断層面(国土地理院モデル)を図3に描画しました。
南東側傾斜の震源断層面1(赤色)が主断層面、北西側傾斜の震源断層面2(緑色)が副断層面で、2つの節面が震源断層面のケースです。防災科研による解析深さを使用して本震の震源球も描画しました。
本震の主断層面は新潟海盆東縁断層の断層面Aと重なる位置にあり、新潟海盆東縁断層は本震を発生させた断層として考えることができます。
本震の副断層面を発生させた断層は不明です。陸域には常楽寺断層、長岡平野西縁起震断層の鳥越断層、片貝断層などがありますが、常楽寺断層は南東側傾斜で北西側傾斜の副断層とはマッチしません。鳥越断層、片貝断層は北西側傾斜ですが、断層面を延長しても副断層面と重ならず、マッチしません(図4)。伏在断層の可能性があります。
※沿岸の「間瀬、野積地域では、逆断層活動により地盤が隆起して隆起海成段丘を形成」している。このような地形が見られる場合、逆に逆断層型断層の存在が推測可能になる。

図3 2007年中越沖地震 本震の断層面

表2 2007年中越沖地震 本震の震源断層モデル(国土地理院)
No.位置長さ走向傾きMw備考
137.409°, 138.360°, 2.0km27km14km40°40°6.6主断層面
237.495°, 138.653°, 4.0km10km12km220°50°6.2副断層面
位置は矩形の上端左端

表3 2007年中越沖地震本震の初動解データ(防災科研)
年月日震源位置解析深さM節面1節面2
2007/07/1637.5568, 138.6095, 16.75km8km6.8215°,49°,80°49°,42°,101°
震源位置は一元化データによる

図4  2007年中越沖地震本震の副断層面と鳥越断層、片貝断層の震源断層面

表4 鳥越断層、片貝断層の震源断層面パラメータ
断層位置長さ走向傾き
鳥越断層37.52°, 138.80°20km12km210°45°
片貝断層37.39°, 138.77°15km12km190°45°
位置は矩形の上端左端。深さは0kmとして描画


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